所得税

【個人事業】年の途中に売却した不動産にかかる固定資産税は全額必要経費か?

不動産所得の必要経費の固定資産税

不動産所得の計算上控除する、必要経費の代表的なものとして固定資産税が挙げられます。

固定資産税の金額は毎年5月頃に役所から送られてくる納税通知書で確認することができます。

個人で不動産賃貸を行っている不動産オーナーの方が、固定資産税の納税通知書が届いた後に、いくつか持っている物件のうちの1棟を年の途中に売却した場合、その売却した不動産にかかる、売却した年の固定資産税は、全額必要経費になるのでしょうか。

賦課課税方式の必要経費の算入時期

まず、その年分の各種所得の金額の計算上、必要経費に算入する国税及び地方税は、その年12月31日までに申告等により納付すべきことが具体的に確定したものとされています。

ただし、賦課課税方式による租税のうち納期が分割して定められている固定資産税について、各納期の税額をそれぞれ納期の開始の日または実際に納付した日の属する年分の必要経費に算入することができるとされています。(所基通37-6参照)

※ここでいう賦課課税方式とは、所得税の確定申告などの申告納税方式とは違い、地方公共団体などが税額を算定してくれる方式です。固定資産税はその年の1月1日現在の所有者に対して、税額が賦課決定されます。

また、固定資産税は保有期間を基準にして月数などで按分することはありません。

そのため、年の途中に不動産を売却した場合でも固定資産税を按分する必要はなく、固定資産税の納税通知書が届き、具体的な金額が確定した時を必要経費に算入する時期とすることで、全額を必要経費に算入することができます。

売却した際の固定資産税の精算金

売却した際に、固定資産税等の精算金をもらうことが一般的ですが、その固定資産税の精算金については必要経費の固定資産税からマイナスはしません。

固定資産税の精算金は売却した不動産の譲渡対価となります。つまり譲渡所得の計算をする際の譲渡価額になります。

意外とその年の固定資産税のマイナスとしているケースが多いので、不動産の売却があった場合は、固定資産税の精算金の取り扱いにも注意しましょう。

また、消費税の課税事業者である場合は、建物にかかる固定資産税精算金は課税売上高、土地にかかる固定資産税精算金は非課税売上となるので、消費税の申告が必要な方は消費税の計算にも影響してきます。(消費税法基本通達10-1-6参照)

まとめ

不動産の売買があった場合、固定資産税の取り扱いも多岐にわたります。そのため、不動産の売買がある場合は必ず専門家に相談するなどをして、確定申告の準備をしましょう。

【編集後記】

久しぶりに本棚の整理をしました。棚の高さを調整したりして、縦置きできていなかった書類なども縦で置けるようになり見た目もスッキリしました。